チャック

12月7日。

話したいというのにマスクをしている。歌いたい食べたい伝えたい。それでも自分の心だけは強固な壁で見えないようにした。マスクをとる自信はなかった。

自分だって愛想がよくないのに、他人の気のない返事で心が痛む。不快にさせていないかと考えると胃が締め付けられるようだ。できるだけ離れたところにいたい。でも繋がっていたい。求められたい。大切にされたい。

相手を思いやっているようで、結局は自分のことしか考えていない。自己保身から嫌悪に陥る。誰も気にしていないことが気になる。どうして、頭の中は人には見えないんだろう。閉じた口と叫んでいる心が、どうして同じ身体に生きるのだろう。