12.11

 

電車っていう乗り物があって、レールの上を走る鉄のかたまりは、とても速く、一度にたくさんの人を運べるんだ。遠いところでもレールさえ敷いてあればすぐ行くことができる。重たいものも運べるし、車みたいに自分で道を選んで運転する必要がないんだ。便利な乗り物、だかれみんな日常的に電車を利用している。

しかし都心部のそれは、キャパを超えていて、毎日毎日満員で人が溢れるほどなんだ。押しつぶされたり、足を踏まれたり、混雑で電車が遅れたりしたら、もう大変。そんなになってまでも電車を使う。みんなよっぽど遠くに大事な用事があるのだと思うだろう。違うんだ。たしかに不必要ではないかもしれないけれど、何万人のうちの数人しか、自分が行きたい方角すら分かっていない。