最高気温

日々の移ろいや、流れる川のように揺らめく感情は、とめどなく溢れ、光り、はじけて溶けてしまう。こんなにも心が動いている、衝動を、繋ぎ止めておきたいと思った。きっとそれは、文章を書くことだった。

曲を作りたいと思った。一瞬の感動を切り取ったような、爽やかで鮮やかなメロディ。胸を締め付ける恋慕の情や、えぐりとられるような悲しみを唄えたら、気持ちがよいことだと思う。音楽を始めて、自分で作ることよりも、この世の中に溢れる素晴らしい曲を知りたくなった。映画はいい。完成の鋭い人々が、選りすぐった曲の数々。揺さぶられる感情に同期する。印象的なピアノのイントロ、変動するリズムのジャズ、壮麗なオーケストラ。時間を超えて、国境を超えて出会う。

そうして私は、朝の通勤電車であろうと、苦悩する夜であろうと、焦燥感を薙ぎ払って、悠々とした広い心を取り戻せるようなのだ。

書こう、と思った。単頁の企画でもない。誰かに言われた通りに書く仕事でもない。まして何年も続けた日記でも、飽き足らない。文章だけが、自分の誇りであり、理解者であり、時には教えである。駆け抜けるように生きていたい。立ち止まって空を見ていたい。全ての感情と寄り添いながら、生を感じ続けたい。