2018-01-01から1年間の記事一覧

12.11 電車っていう乗り物があって、レールの上を走る鉄のかたまりは、とても速く、一度にたくさんの人を運べるんだ。遠いところでもレールさえ敷いてあればすぐ行くことができる。重たいものも運べるし、車みたいに自分で道を選んで運転する必要がないんだ…

睡蓮

乱文を連ねても仕方がないので、短い物語でも書けたらいいと思う。しかしまた今日も物語にはなれなさそうだ。思うことは書くことではない。書くことは、言葉通り、描くことに似ている。思いをキャンバスに落としていく。言葉はふわふわと浮かぶ絵の具で、そ…

最高気温

日々の移ろいや、流れる川のように揺らめく感情は、とめどなく溢れ、光り、はじけて溶けてしまう。こんなにも心が動いている、衝動を、繋ぎ止めておきたいと思った。きっとそれは、文章を書くことだった。 曲を作りたいと思った。一瞬の感動を切り取ったよう…

ジヴェルニーの食卓

5月18日。 原田マハさんの本を読んだ。 4編の短編集。1話目のアンリ・マティスを読み終え、本を閉じてから思わず額を寄せた。 原田マハさんの文章は、最後の一言まで、上品で美しい語り口。芸術のもつ眩しい光、胸をくすぐる色彩、美しいものに出会う感動、…

桜の散る夜

3月30日。 高速道路の橙色のランプが、目の奥にべっとりと広がる。吐き気のような、喉につかえているかたまりが膨らむ。何度眠りについても、考え直しても、胸の奥のイライラが消えてくれない。もやのようにまとわりついて、頭をぼーっとさせる。 一度自分の…

あの坂の上

3月12日。 私は結構坂道が好きだ。地面を踏みしめる感触が足の裏から伝わり、ふくらはぎの筋肉が伸びているのを感じる。平坦な道より速くなる。ぐんぐん進む感じが好きだ。プライドも意地もズタズタになって、妥協しながら、ここまできた。ちっぽけな自分が…

1月24日。 口にした途端、ああこれではないと分かる。間違った言葉、伝わらない気持ち。表現できない。君の顔色を伺えば、たいていは傷付けているか、怒らせているかのどちらかだった。分かってもらいたくて溢れ出る言葉達は、刃となり、槍となり、たとえ望…

タイル

1月9日。 空がグレーに包む、憂鬱な朝。発車ベルは頭上をざわつかせ、丸まった靴下のように詰め込まれる車内。今日もどうにかなってしまいそうだ。