1月24日。

口にした途端、ああこれではないと分かる。間違った言葉、伝わらない気持ち。表現できない。君の顔色を伺えば、たいていは傷付けているか、怒らせているかのどちらかだった。分かってもらいたくて溢れ出る言葉達は、刃となり、槍となり、たとえ望んでいた返答が来ても、それは恐喝と同等だった。

風呂上がりの蒸気で鏡が曇る。濡れた髪がくるくると好きな方へはねる。だんだんと輪郭がぼやけ、肌もクリームを塗ったかのようになめらかに見えてくる。綺麗だ。

もしいま、ソファーに君が座ってなかったら。その先を思い浮かばなくとも、気配のないソファーが答えだった。膝掛けをかけて腰掛けると、またしばらく眠れそうにないと察した。夜中に光る白色電球は、瞼の裏側まで乾かした。

たかだか隣の部屋までの距離は、分厚く、果てしない壁があった。この木造アパートには備わっていないはずだ。聞いてたのと全然違うね、と一人嘯く。