地下鉄

11月30日。

考えがまとまらない。何度思い直しても、同じところから抜け出せない様は、傾いた車輪のようだ。

地下のアリの巣を迷いながら進む。答えはない矢印の先。冷蔵庫の中で、君を抱きしめることだけは間違っていないと思った。

黄色い時計が好きだと言った。返事を濁したのは、その時計の針が特別早く感じたからだ。同じ気持ちではいられない。揺れ動く天秤の真ん中で私は、せめて微笑んでいたいと願う。