瞳の奥

12月2日。

青い空に澄んだ光、師走の冷たい風が心地よい。学生服には色とりどりのマフラー。彼らの淡い感情を繋ぎとめるように編まれたチェック柄。胸の奥で、子猫に甘噛みされたような痛みを感じる。

何か新しいことを始めたい。変わりたい。そんな気持ちで家を出てきた。

帰り道に味わった挫折も、私が踏み出した一歩だ。得られなかったものは、失ったものではない。あと何歩踏み出せば、手にはいるだろうか。地下鉄は野心を運んでゆく。日々の雑踏や、どうかこの気持ちを忘れさせないで。