マフラーとおでん
11月12日。
暖かい布団。温かい食べ物。人肌、ぬくもり。
土曜日の夜は少しずつ、固い画用紙に溶いた絵の具を染み込ませていくように、単調な日々に色をつけた。それはオレンジとかそんな色で、鮮やかな夕焼けみたいに広がった。
「この人がすき。」
そんな気持ちによく似ている、土曜日の夜。
どうかこの夜が、長いこと続いてくれないだろうか。朝焼けの素晴らしさを忘れたわけではないが、青空を飛ぶ鳥の清々しさを思い出さないわけではないが、夜が夜であり続けてくれないだろうか。せめてこの人が、この腕の中で安らいでいる間だけでも。
そうしてはなれる時には思い出して、そばにいる時には忘れてしまう。もしそれが同じ時間ならば、何も怖がることはないのだ。