国道

12月11日。

私は、今まで行ったところのかけらでできている。

そんな思いに駆られたのは、大きな国道沿いを歩いていた帰り道。重たいトラックが次から次へと、暗闇を照らしながら轟々と唸り声をあげて引き摺られていく。赤信号が遮ると、冷たい風が吹き、街路樹の葉をざあざあと撫でる。見上げれば電線が蜘蛛の巣のように張っていて、頭上に広がる深く暗い空に捕らえられたような気持ちになった。

怖い思いもした、悲しい思いもした。平凡な毎日の中で、たとえようのない不安に、裾を掴まれているような、どこか悲しげな老人に見つめられているような。真っ赤な顔で泣くのを堪えた赤子のようになっても。それでも。今私はここで、息をして、騒音と眩しいライトを感じながら、歩いている。この先の悲しみに、胸が押し潰されてしまうとしても。この道を行く。