太陽の放射

11月16日。

木々の隙間から射し込む、やわらかな光。照らされた落ち葉の上を、鳩がのしのし歩く。丸みのある体が風にさらわれ、一斉に飛び立っていった。そろそろ戻ろうか。鳩に驚いていた二人組をよそに立ち上がると、冷たい風が体の隙間を通りぬけた。女性用のフォーマルな服は、女性のことなど考えていないようで、足も首もすっかり冷えている。午後は、あと5時間。そうしたら会社から出て、電車を乗り継いで、家に帰って夕飯を作って、お風呂に入って、寝て、また明日会社にきて……。

分かりきった日々の確認は、嫌気がさすよりむしろ、傍観しているようだった。へえ、そんなつまらない日々があるの。毎日同じことの繰り返しで、未来に靄がかかっているの。でもそのうち変わるのでしょう。今とは一変した、輝かしい朝を迎えるんでしょう。それはきっといつか、悲しみのない別の世界で。明日の朝も私はここにから動かないよ。