ジヴェルニーの食卓
5月18日。
原田マハさんの本を読んだ。
4編の短編集。1話目のアンリ・マティスを読み終え、本を閉じてから思わず額を寄せた。
原田マハさんの文章は、最後の一言まで、上品で美しい語り口。芸術のもつ眩しい光、胸をくすぐる色彩、美しいものに出会う感動、人生の喜び、ときめき。
全てを包み込んで、優しく目の前でほどいてくれるような、なんとも贅沢な時間だった。
それまで私を蝕んでいた焦りや、退屈な日常、冷めた心、刺々しい言葉達、悪夢が、読み終わる頃には、すうっと透き通って、心地よくなっていた。
愛おしい人に会いたい気持ち、大切にされる喜び。
心のずっとずっと奥の深い情熱が、長い眠りから目を覚ましたように。